急しゅんな丘の中腹に建つシェルターで暮らすアイーシャ (45) 。2人の娘と5人の息子を持つシングルマザーで、雷の音におびえる日々を送っています。
「大きな嵐がきたら、この辺りの人たちはみんな流されてしまうかもしれません」。その表情はとても不安そうです。
アイーシャは昨年8月にミャンマーのラカイン州で発生した激しい衝突の後、バングラデシュに逃れてきたロヒンギャ難民の一人です。世界最大規模といわれるコックスバザールの難民居住地で暮らしていますが、今さらされているのはモンスーンによる洪水や地滑りなどのリスクです。
これまでの被害は少なくとも315件、33人が負傷し、少なくとも1人が命を落としています。難民居住地の2万9000人がシェルターに激しく打ちつける雨や強風の被害を受け、さらなる避難を余儀なくされています。
国際社会にさらなる支援を呼びかけるため、先週、アントニオ・グテーレス国連事務総長、ジム・ヨン・キム世界銀行グループ総裁が、バングラデシュのコックスバザールを訪問しました。ロヒンギャ難民、人道支援団体へのヒアリングを行ったほか、モンスーンによる被害の様子、水のポンプや仮設トイレなどの設備、そして新しく建設された400個のシェルターも視察も行いました。
「やっとゆっくり寝れるようになりました」。家が流されてしまったタスリマ(25)は、頑丈な竹の壁とソーラーランタンがついた家に2人の子どもとともに引っ越してきました。
グテーレス事務総長とキム総裁は、難民と受け入れコミュニティを中期的に支援していくため、首都ダッカで関係者を交えて会談を開きました。現在、9億5000万米ドル規模の人道支援プランが進められていますが、そのために必要な資金はまだわずか26パーセントしか集まっていません。
世界銀行は今回の訪問前に、バングラデシュに対する5億ドル近い資金提供を発表しています。
現状ではロヒンギャ難民がミャンマーに安全に帰還することは難しく、一日でも早く安全に帰還できるようになるためには、国際社会からのさらなる支援が必要とされています。
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