インドネシア、スマトラ島北部のアチェ州では、毎年4月の数日間、地元の漁師たちによって“カンドゥリラオ祭り”が行われます。海からの恩恵に感謝の意を示すとともに、海の危険から守ってもらえるよう、神に祈りを捧げるためのものです。
時を同じくして今年の4月20日、84人のロヒンギャ難民を乗せた2艘のボートが、北部沿岸の町ビリューエンの近くで発見されました。地元の漁師たちは、2016年のバリ宣言で定められた海事条約に従い、入国が許されている安全な場所まで彼らを誘導しました。
その中のひとり、クシダ(仮名:57歳)は孫のルマナ(11)を連れていました。情勢が悪化するミャンマーのラカイン州の州都シットウェから、数週間かけて、ボートに乗って逃れてきたのです。クシダたちが暮らす地域では、12万を越える人たちが国内避難を余儀なくされているといいます。
孫を連れてのボートでの避難はリスクも多くありましたが、暴力や迫害から孫を守る唯一の方法でした。「ルマナは、私の唯一の希望なのです」。クシダは、深く息を吸い込みながらそう話します。
ロヒンギャ難民たちはボートで到着してすぐ、インドネシア政府と地元コミュニティにより、近くの施設で保護されました。2015年5月に1000人近くのロヒンギャ難民が逃れてきた時と同様に、アチェの人たちは、食糧、衣服、医薬品などの寄付を募って支援を続けています。
UNHCRは現在、インドネシア赤十字社などのパートナー団体と連携し、アチェ州での難民支援、他国にいる家族と引き合わせる取り組みをしています。さらにミャンマー政府に対して、UNHCRはロヒンギャ難民が避難を余儀なくされた根本的要因を調べるよう呼びかけています。
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