争いが絶えないソマリアの首都モガディシュに暮らしていたファドゥモ (81)と夫のアリ。そのような状況が17年続いたころ、身に迫る危険を感じ、2008年に夫婦でシリアに移ることを決めました。
その時は、まさかその3年後、シリアでも紛争が起こるとは想像もしていませんでした。
「とても怖かったです」。2011年3月にシリアで始まった紛争について語るファドゥモ。新しい土地でも家を追われ、住む場所をなくした彼女は、「故郷での悲劇を思い出した」と言います。
また、この夫婦には、ずっと気にかけていることがありました。1991年にモガディシュを逃れたまま連絡が取れない娘のことです。当時のソマリアには、彼らのように家族がばらばらになってしまった人たちが多くいました。
シリアのソマリア人コミュニティで、娘を探し始めたファドゥモ。そしてついに、そこで得た手がかりを頼りに、娘ファティマを探しあてました。ファティマはドイツに逃れ、その後、イギリスで難民認定を受けていました。
最初に電話で話した時のことを、ファドゥモはこう振り返ります。
「喜びから涙がとまりませんでした。娘は生きていた、と。この時の気持ちは言葉では言い表せません」
そして2010年、両親に会うためにシリアを訪れた娘と、涙の再会を果たします。
その後すぐに、ファティマは難民の家族呼び寄せ制度を使って、イギリスで両親を受け入れるために動きはじめました。その努力が実り、今、ファドゥモは夫とともにルーマニアに設置されているUNHCRの緊急トランジット・センターでロンドンに向かう日を待つばかりです。
「娘と孫と一緒にいられることになって本当にうれしい」とうれしそうに語るファドゥモ。「私はただ平和が欲しいのです。ロンドンでは争いが起きないことを祈っています」
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