UNHCRは2日、ジャパン・プラットフォーム(JPF)、国際移住機関(IOM)とともに、国連大学エリザベス・ローズ国際会議場において、円卓会議「ロヒンギャ危機にみる難民と移民の諸課題―グローバル・コンパクトの可能性」を開催いたしました。
第一部では、グローバル・コンパクトについてウィリアム・レイシー・スウィングIOM事務局長とダーク・へベカーUNHCR駐日代表による基調講演が行われ、移民と難民に関する包括的な枠組みであるグローバル・コンパクトの現在の状況と可能性について発表しました。
続いて、深刻な人道危機のひとつであるロヒンギャ難民の現状について、JPFに加盟するNGOが現場の状況を報告。難民キャンプでの衛生環境の改善、支援物資の配布、人々への心理社会的支援、医療サービスなど、多岐に渡る支援事例が紹介されました。今後のモンスーン期への対策として、シェルターの改良支援が急ピッチで行われています。
ラウンドテーブル・ディスカッションでは、国連機関やNGO、アカデミア、民間企業、メディアなど26名が参加し、グローバル・コンパクトやロヒンギャ難民の帰還、難民・移民問題への日本の役割などについて、それぞれの立場から意見交換が行われました。
2017年8月25日以降新たに68万8000人がミャンマーからバングラデシュに避難しています。状況は落ち着きつつあるものの、様々なアクターが緊急事態の初期の段階から開発や平和構築の視点も含めて協働していくことが重要という声が複数の参加者から上がりました。
受け入れコミュニティへの支援を通じ、受け入れ側の負担の軽減、ならびに、新たな難民の発生を抑制につなげることが必要などの意見も聞かれました。難民支援は政権の安定につながるという国際社会の後押しが必要との声もありました。
ミャンマーへの帰還については、合意の内容、ならびにその影響を固唾を呑んで見守っているとの感想がミャンマー国内で支援活動をする団体からありました。ミャンマーのラカイン州へのアクセスの確保も課題だといいます。市民権などの制度が整わないと、帰還後もロヒンギャの人々の生活は保障されないという指摘がありました。
また複数の民間企業からは、自社の経験や技術を難民支援に活用していきたいという声も挙がりました。
▼難民に関するグローバル・コンパクトについてはこちら(英語)
写真:©UNHCR