日本はアジア地域だけではなく、世界中で人道支援の分野でリーダーシップをとり、難民へ望ましい保護と恒久的な解決策を提供してきました。日本政府は2008年12月に、他アジア諸国に先駆けて、第三国定住に関するパイロットケースの実施を決定し、タイのメー・ラ難民キャンプの人々に対して安全かつ尊厳を保った生活を提供するにあたり大きな一歩を踏み出しました。
第三国定住は、難民保護における恒久的な解決策を与えるための手段ですが、複雑で難解な段階を踏む必要があります。各段階で、第三国定住受け入れ先の国家、UNHCRに加え、国際機関や地方自治体、市民社会団体などの関係者が主導する様々な活動が行われます。それぞれ、適切かつ慎重に取り扱われる必要があり、関係者間で協力しなくてはなりません。
通常、第三国定住には主に二つの段階があり、第一庇護国からの出国前支援と、第三国定住先への入国後に分けられます。第一の段階では、第三国定住の対象となる難民のケース概要の作成、最適な受け入れ国の検討、政府主導での対象者の決定、出国前オリエンテーション、健康診断などが上げられます。第三国定住先における第二の段階としては、文化オリエンテーション、言語トレーニング、住居の提供、生活支援プログラムなどの中期的なものと、教育、就職斡旋、帰化など長期的な支援が含まれます。
日本政府の一部省庁、UNHCR、IOM、その他関係者は年以上に渡り本パイロットケースの順調な開始に向け協力してきました。いまから数週間後には、最初のグループ(30名程度)がより安全な人生への期待に胸を膨らませて到着する予定です。これらの難民が、日本社会に貢献し、うまく社会へ統合してほしいという期待があります。本シンポジウムは、難民自身も含めた政府・非政府の関係者が、今後の課題を議論し、過去に見られた類似した前例を足がかりに道を切り拓く素晴らしい機会になるでしょう。本シンポジウムをなるべく包括的で有用なものとするため、二つのパネルでは出国前支援と入国後の各段階における最重要の課題に焦点を当てます。
日本は、本第三国定住受け入れによって確実に良い影響を受けると期待されますが、他の第三国定住先としての歴史をもつ国や、最近受け入れに取り組み始めた国と同様、様々な課題にも向き合うことになることでしょう。
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