3月30日にジュネーブで、UNHCR主催の閣僚級会合が開催されました。92ヶ国の政府の代表などが参加し、シリア難民の問題解決について協議しました。シリア紛争発生から5年の間に480万人が国外に避難を余儀なくされているほか、国内避難民も660万人に上ります。
UNHCRは2018年までに、シリア周辺国に避難しているシリア難民480万人の10%に当たる48万人を第三国定住、または人道ビザ、プライベートスポンサーシップ、家族統合、奨学金などの仕組みによって受け入れるよう訴えています。会合でフィリッポ・グランディ国連難民高等弁務官は、シリア難民支援の責任をシリア周辺国だけに負わせるのではなく、世界各国がその責任をより平等に分担すべきだと主張しました。
そして「シリア危機は通常の対応では賄いきれないほど深刻で、シリア周辺国に多大な負担がかかっています。シリア周辺国への支援を続けると同時に、シリア難民の受け入れに向けた様々な方策を提供することが解決策の一部となるべきです」と話し、各国に理解を求めました。
▼会合では主に以下の6項目の分野において進展が見られました。
1.第三国定住と人道的な受け入れによって受け入れらたシリア難民は徐々に増え、その人数はこれまでに計18万5000人。数ヶ国が再定住プログラムの大幅な拡大を計画中。また、欧州連合(EU)もトルコからのシリア難民の再定住を約束。
2.多数の国が、家族再統合における協力を表明。手続きの簡素化の用意あり。
3.ラテンアメリカと欧州の数ヶ国は、新しく人道査証プログラムを導入したり、既存の受け入れ枠組みを拡大すると表明。
4.13ヶ国が、奨学金の提供、学生ビザの発給を表明。
5.複数の国が難民受け入れ手続きの迅速化に言及。
6.2ヶ国がUNHCRの再定住プログラムへの財政的支援を表明。再定住プログラムを実施する複数の国が、新たに再定住プログラムを実施する国に専門的知識を共有すると表明。
閣僚級会合に参加した潘基文国連事務総長は「シリアの人々が最も希望を得られるのは、紛争の終息です。しかし、永続的な平和実現に向けた協議が実るまで、シリアにとって困難な状況が続きます。国際社会は具体的な行動と誓いに基づいて、さらなる支援を行うべきです」と述べました。
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