ジュネーブ・ニューヨーク(8月23日)発 − 3年目に入って久しいシリア危機、故郷を追われ難民となったシリアの子どもたちの数は100万人を超えた。
UNICEFのアンソニー・レーク事務局長は次のように述べた。「難民となった100万人もの子どもたち、これは単なる数字ではありません。考えてみてください。子どもが家や家族から引き離され、恐怖にさいなまれているということです」「私たちはこの恥ずべき状況に至った責任を負わなければなりません。国際社会はこの危機に直面している人たちの苦難を取り除く支援をしていますが、子どもたちへの責務を果たせていません。今こそ立ち止まり、シリアの子どもたちにこのような状況に追い込まれていることを、共に考えるべき時が来ました」
UNHCRのアントニオ・グテーレス高等弁務官も次のように述べた。「シリアの純真無垢な世代の命と生活が危機に直面しています」「シリアの若者は住む家を、家族を、そしてその未来が失われようとしています。安全を求めて、国境を越えることができたとしても、トラウマに苦しみ、心に傷を負いながら、どのような希望を抱くことができるでしょうか」
UNHCRとUNICEFによればシリア紛争を逃れた難民の半数は子どもで占められている。その多くはレバノン、ヨルダン、トルコ、イラク、エジプトへ逃れ、さらには北アフリカ、ヨーロッパへ逃れる難民も増えている。最新の統計によると、およそ74万人は11歳に満たない子どもである。
国連人権高等弁務官事務所によると、シリア国内では紛争によって命を落とした子どもたちは7000人にものぼる。UNHCRとUNICEFは200万人以上の子どもたちがシリア国内で避難していると推計する。
この人道危機によって多くの子どもたちは劇的な状況の変化、恐怖、ストレスやトラウマを受けているが、これはシリア危機のほんの一部に過ぎない。UNHCRとUNICEFは難民の子どもが児童労働、早すぎる結婚、さらには性的搾取や人身取引にさらされる危機に直面していると警鐘を鳴らしている。ヨルダン、レバノン、イラクに逃れた子どものうち、3500人以上は、単独で、あるいは、家族や保護者とはぐれたままシリアの国境を越えた。
UNHCRとUNICEFは、史上最大規模の人道支援活動を通じて、紛争によって避難せざるを得ない何百万人もの家族と子どもたちを支えている。
例えば、UNICEFとそのパートナー団体と協力して、難民キャンプと周辺国の受け入れコミュニティの中で生活している130万人以上の子どもたちに対し、はしかの予防接種を実施した。さらに約16万7000人の難民の子どもたちに心のケアを行い、11万8000人以上の子どもに教育の機会を提供、22万2000人に安全な水の供給を実現した。
UNHCRは、100万人の子どもを難民として登録し、その身分を証明した。避難中に生まれた新生児が無国籍にならないために、出生証明書が発行されるための支援を実施した。またすべての難民の家族と子どもたちが安全に避難できるためのシェルターを提供している。
しかしながら、両機関が達成しなければならない問題はまだ山積している。今年末までのシリア周辺国への地域対応計画には総額30億米ドルだと要請しているが、全体の38%しか調達できていない。
国連はシリア国内を含めた危機に対応するため、50億米ドルを超える資金が必要であると要請している。子どもや受け入れコミュニティの子どもへの教育や保健などの喫急なニーズに対応するために、より多くの資源を投入、国内のネットワークを駆使して的確に子どもたちのリスクを見極め、その子どもたちと受け入れコミュニティに対して支援を提供する必要がある。
しかしながら、多くの資金は子どもたちが必要としているものの一部に過ぎない。政治的な解決へ向けたより一層の努力が必要である。紛争当事者は、市民を標的にした行為や子どもたちを徴兵する行為をただちに止めるべきである。国境は開放され続けるべきであり子どもたちと家族が、安全に国境を超える手段は残されるべきである。
UNHCRとUNICEFは、国際人道法によって果たすべき義務を怠るものは、その責任を負うべきであると訴える。
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■Marixie Mercado, UNICEF Geneva
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■Peter Kessler, UNHCR Amman
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UNHCR(国連難民高等弁務官事務所)は、1950年12月4日国連総会によって設立され、60年以上難民支援に努める国連機関である。世界各地にいる難民の保護と支援、そして難民問題の解決策を図る国際的な行動を主導、調整することを任務とし、また、難民の基本的人権の尊重を確保することを最も重要な目的としている。UNHCRは自発的帰還、庇護国での定住、第三国定住という三つの解決策により、難民が他国において庇護と安全を求める権利を行使することに尽力している。また、無国籍者もUNHCRの支援対象者に含まれる。UNHCR駐日事務所は、世界第2位の拠出国である日本政府と非政府組織(NGOs)、民間セクターとともに、国内外の難民の支援に努めている。
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