パレルモ発
ベッドに横たわる1歳のディナ。イタリア、シチリア島にあるパレルモの病院で治療を受けている。ディナは眠っているが、身体は痛みとたたかっており、顔は火傷で皮がむけ始めている。ディナはリビアから船で避難する直前に受けた爆撃によって怪我をしたが、まだその悪夢を見続けていると母親のラヘルは語った。
この親子を含め、4月18日に地中海で起きた転覆事故で救助されたのは71人だ。事故の後に救助され、イタリアのランペドゥーサ島に運ばれた人々の多くがひどい火傷を負っていたため、ヘリコプターでシチリア島に運ばれた。しかしこの出来事は同時期に地中海で多くの死傷者を出す転覆事故があったため、あまり報道されなかった。シチリア島の病院に運ばれた23人は現在も病院で集中治療を受けている。
ラヘルはエリトリアから南スーダンへと逃れ、その後リビアへと避難して船で欧州を目指した。避難するために払った額は5000米ドルだという。リビアを発つ前にカセットボンベを使った爆弾で23人が負傷したが、その夜に、密航業者はラヘルと他70人を小さな船に乗せた。途中でもっと大きな船に乗り換えると言われていたが、実際には乗り換えることなく、船はあっという間に沈んだ。
パレルモの病院の別の階では、3人のエリトリア人の女の子が寝かされている。震える以外はほとんど動くことがない。1人は酷い火傷を負っており、処置のために医師がこの女の子の髪の毛を剃った。それを見た他の2人はとても恐怖に怯えている。なぜなら3人が暮らしていた場所では文化的背景から、髪の毛を剃ることは死を意味するからだ。
今年に入り、欧州にたどりついた難民、移民は1万3300人にのぼる。UNHCRは1人でも多くの命を救うため、海上の捜索と救助活動に力を入れるよう欧州諸国に要請している。
UNHCR報道官は「この病院では集中治療室で苦痛とたたかっている人もいる。また家族と連絡がつかずに不安な思いで過ごしている人も大勢いる。ディナは治療を受けているが、悪夢のせいで夜中に何度も起きるため母親はとても心配している」と語った。
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