「シリア周辺地域・難民・回復計画(3RP)」を推し進める国連機関と200以上のパートナー団体は深刻な資金不足に陥っていると発表した。「シリア周辺地域・難民・回復計画(3RP)」は昨年12月に国連機関とパートナー団体が立ち上げ、45億3000万米ドルの緊急支援要請を行っていた。
この45億3000万米ドルに対し、5月末時点で集っているのは23%(10臆6000万米ドル)で不足額は34億7000万米ドル。この状況を受け、アントニオ・グテーレス国連難民高等弁務官は「大幅な資金不足により、今後半年間、必要最低限の支援物資も届けられないという危機的状況だ。」と国際社会に更なる支援を訴えた。
資金不足によって今年はすでに160万人分の難民の食糧を減らさざるを得ず、75万人の子どもが学校に行けず、医療サービスの不足から7万人の妊婦が安全に出産できないという危険にさらされている。
ヨルダンでは都市で生活するシリア難民の86%が1日3.2ドル以下の貧困状態にあり、レバノンでは全体の45%が不十分なシェルターでの避難生活を余儀なくされている。シリア危機の影響を最も受けているのは子どもたちで、多くが暴力などの辛い出来事を経験している。
このまま資金不足が続くと、シリア周辺国に避難しているシリア難民約13万世帯が現金支援や、食糧などの必要最低限の生活物資を受け取れなくなる恐れがある。また飲料水や生活用水の供給も滞り、さらに今年の冬は170万人が燃料、シェルター、毛布や防寒着などを受け取れない危険がある。
国際社会はシリア難民受け入れ国だけに負担が偏らないよう、資金援助や第三国定住の機会の提供、また人道的保護に基づくシリア難民の受け入れを積極的に行うべきである。国連機関とパートナー団体は、このまま資金不足が続けば不安定な生活を強いられているシリアの子どもたちが「失われた世代」となると同時に、難民受け入れ国は限界に達すると警鐘を鳴らしている。
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▼「シリア周辺地域・難民・回復計画(3RP)」の進捗状況を伝えるレポート「3RP Regional Progress Report」はこちら