レバノンでは100万人以上のシリア難民が避難生活を送っています。身を守るためのシェルターを確保し、衛生環境の良い場所で健康を維持するのはシリア難民が直面する困難の1つです。また職を見つけられないまま避難生活の長期化により、持ち出しの貯えが尽きてしまう人は多く、レバノンにいるシリア難民の実に90%が負債を抱えています。そんな中、救いの手となっているのが日本政府がUNHCRを通じて行っている医療支援です。
生後7ヶ月の男の子マタール(写真左)は避難先のレバノンで病気にかかり、医者から手術が必要と告げられました。「UNHCRが手術にかかる費用のほとんどをカバーしてくれました。この助けがなければ、途方に暮れていたでしょう」とマタールの父親は語りました。
UNHCRはレバノンで毎年5万500件以上の手術や治療費をカバーしています。このレバノンでの支援活動に大きく貢献しているのが日本です。シリア難民がレバノンで病院にかかる理由は主に産科、次に呼吸器疾患や感染症です。それに加え、集中治療室での処置が必要な新生児が多くいます。「今、現時点で、私たちの集中治療室で処置を必要としている新生児18人中、9人がシリア人の赤ちゃんです。しかし、シリア人の両親には治療費や入院費を支払う余裕がありません」と病院のスタッフは語ります。
日本からの支援は避難先レバノンで、懸命に生きようとする赤ちゃんの命をつないでいます。