ジュバ、南スーダン、2014年1月9日発
戦闘車や武装した兵士で溢れ緊迫したジュバの街に一人の青年ユサイフが降り立った。ジュバ空港に到着したユサイフの表情は安堵に満ち溢れている。「やっとここまで来ることが出来た。生きていることがありがたい。」そう話すユサイフはウガンダで難民認定を受けたダルフール出身の青年だ。
ユサイフは昨年11月から南スーダンのベンティウに住む家族の元を訪れていた。しかし、運が悪いことに滞在中に南スーダン内で政情不安による暴動が起こり、石油が豊富なユニティ州の州都ベンティウは反体制軍に制圧されてしまった。長時間に及ぶ戦闘の間、ユサイフたちは知人の家のベッドの下に身を隠した。次の日の朝、国連南スーダン共和国ミッション(UNMISS)の施設に逃げ込んだユサイフたちは恐怖で一歩も施設の外に出ることが出来なかったと言う。
絶望的な状況のなか、UNMISSの文民保護官、キルスティン・ヤンがユサイフに救いの手を差し伸べた。4、5日間をベンティウの施設で過ごしたユサイフたちは、ヤンがケニアやエチオピア、ウガンダ出身の外国人を国外に退避させていることを知り、自分たちはダルフール出身だがウガンダで難民認定を受けているという事情を説明した。ヤンはすぐにUNHCRジュバ事務所のカシア保護官に連絡し、数時間もしないうちに確認を取ることができた。
その後、ユサイフたちはベンティウを出る飛行機を待ち続ける落ち着かない日々をすごした。数日後やっと国連の施設を出たユサイフたちは、空港までわずか4キロの移動の間でさえ恐怖におびえていた。それほど南スーダンの状況は深刻で、人々を追い詰めている。ユサイフは、紛争で兄妹を失い、妊娠中の妻と生き別れてしまった辛い経験が、今でも恐怖心をかりたてるという。空港に着くと国連軍がユサイフたちを搭乗するまで保護し、無事にジュバに出発させることが出来た。
ユサイフとナグマディーンの道のりはまだ続くが、ウガンダの首都カンパラまで無事に辿り着けると確信している。
「自分がこのような状況に陥るとは想像もしていなかった。父や母、そして自分の妻とも離ればなれになり、私は今たった一人だ。それでも、ダルフールにいつか平和が訪れ、皆で家に帰れる日が来ると信じている。」とユサイフは語った。
くわしくはこちら(英語)