アントニオ・グテーレス国連難民高等弁務官は、9月27日、国際社会に対してアフリカの人道危機を看過するリスクに対して警告し、アフリカでの対立を防ぎ、長期に渡って避難する人をなくすため取り組むよう呼びかけた。
年に一度のUNHCR執行委員会の最初に行なわれたアフリカにおける人道危機について話し合う閣僚級会合で、グテーレス高等弁務官は各国の代表者に、「300万人を超す難民、1250万人の国内避難民、70万人の無国籍者を抱えるアフリカ大陸は、その問題の規模と必要な資金という観点から、UNHCRにとって最大の挑戦だ」と語った。
中央アフリカ共和国、ナイジェリア北部、リビア、南スーダンで多発する紛争によって、2014年の前半だけで250万を超す人々が避難を強いられた。グテーレス高等弁務官は、長引く紛争と避難民の状況に加え、新たに発生した大規模な緊急事態は現地の政府と地域社会にとって非常に大きな負担となっているとし、「かつてないほどの規模で世界中で避難を強いられる人の数が増えており、国際社会の対応力は限界に近づいている。メディアの注目が他の地域に集まっているが、アフリカでの危機は続いている」と語った。
グテーレス高等弁務官はアフリカにおいて多くのコミュニティが紛争によって家を追われた住民を支援していることを賞賛し、アフリカの国々の難民受け入れに対する理解に感謝した上で、地域の治安や難民の保護など残された課題も提示した。今年に入り、15万人以上が迫害や紛争から逃れるため、ヨーロッパを目指して地中海を渡った。
グテーレス高等弁務官は国際社会に対し、アフリカでの紛争を防ぎ、家を追われる人がこれ以上でないよう決意をもって取り込むよう呼びかけた。
「はっきりしていることが1つある。危機を未然に防ぐための政治的解決策がなく、将来の見通しが立たない中、国際社会ができることは新たな危機に対応し、犠牲を悼み、より多くの資金を支援のために捻出することである。」
最後にグテーレス高等弁務官はアフリカでの人道危機について、「メディアの関心や政治的議論が中東やウクライナに集中しており、アフリカでの人道問題への関心が薄くなってきている。マリ、ナイジェリア、リビア、ソマリアなどで起きている危機は、シリア、イラク、イエメン、アフガニスタンでの問題とつながっている。国際社会がアフリカでの人道問題に目を向けなければ、その危機はさらに拡大する恐れがある。これは単に国際社会の結束という問題だけではなく、安全と平和を維持するという我々1人1人に関わる問題である。」と訴えた。
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