東京発(20日)
今朝、UNHCRは東日本大震災によって甚大な被害を受けた宮城県に、追加分として約1,800台のエコ・ランプ(太陽光によって発電する小型ソーラー・ランプ)を届けた。これは先月末、UNHCR が世界各地で活用しているエコ・ランプ約1,800台を被災された方々へ届けたと同時に避難所などの現場でその有効性が評価され、外務省経由、宮城県から追加手配の要請があったもの。UNHCRによってインドの製造元から、成田空港に緊急空輸され、国連世界食糧計画(WFP)の協力のもと、今朝物資配給の拠点となる石巻市運動公園に陸路到着した。
被災地では未だに電気や水などのインフラの復旧の見通しが立たないところが多い。震災発生から40日、今なお13万人が不自由な避難生活を送っている。全国や世界からの支援を受け、物資の確保、瓦礫の撤去、仮設住居の建設など、復興への進展も見えつつある一方、津波の被害が大きい地域では、電源確保までは、少なくとも半年以上はかかるとも言われている。
避難所を出て、被害を受けた自宅に戻り、その2階で避難生活を続ける被災者もいる。普通の生活に戻ろうと懸命に努力しながらも長引く余震の影響を受け、再度避難をしなければならない現実にも直面する。復興への兆しを見出しながらも、このような状況が続く限り、その担い手の心の傷は深まりかねない。
宮城県の担当者によると、復旧のペースは被害規模により差があり、同じ町でも、夜にビルの屋上から見渡したところ、「電源が確保でき、明かりが届いているところと、暗闇のままの地域と、避けられない差がある」と地域全体で復興に向きあう中での困難さを指摘している。
このような状況の中、UNHCRのエコ・ランプは、前回の配布で周辺の被災地にもその評判が伝わり、このたびの支援が実現した。UNHCRは現場のニーズに応じて、さらに3,000台のエコ・ランプの手配も準備している。
厳しい環境のもと、被災地にも春が訪れようとしている。困難な環境の中でも子どもたちは新学期のため学校に戻り始めた。離れていた同級生と机を並べて学ぶこと、下校後に宿題をすることも、読書をすることも、普通の生活に戻るために大事な第一歩である。暗くなってからも明かりが灯る中で過ごし、床に着く。このたびのエコ・ランプ支援によって被災した家族や、地域が少しずつでも普通の生活を取り戻すきっかけとなって欲しいと願わずにはいられない。
※エコ・ランプに関するウェブストーリー
2011年3月29日 【UNHCRから被災地へ エコ・ランプ届けられる】
2011年4月4日 【UNHCRのエコ・ランプ、被災民へ希望の明かりを】
2011年4月20日 【新学期へ明かりよ届け、UNHCRのエコ・ランプ】