チャド、ゴレ 9日
2年前、UNHCRはチャド南部の2つの難民キャンプにある医療センターを閉鎖し、その間の村に新規に医療センター開設した。この施設は、地域で活動する難民援助機関の方針の象徴となり得るもので、公平性と成功を実現するためには難民と地域住民の双方への配慮が必要だとUNHCRは判断した。
ゴレにあるUNHCRの事務所は、難民の潜在的な反感を和らげるため、「地域住民のために井戸を掘る」といったようなその場その場に応じた小規模プロジェクトをかつては行っていた。しかし2008年以降、UNHCRは難民と地域社会との統合を率先して援助し続けてきている。
「難民と現地住民を私たちの支援を共有することで繋ぐことができれば、私たちは普段取り残されがちな受け入れ地域の住民に多大な貢献ができる」と先月ゴレを訪問したジャネット・リム国連難民高等弁務官補は語った。「結局、地元住民は難民のすぐそばで生活し、資源を共有している。UNHCRは、開発活動に従事するなかで、彼らのニーズに添った視点を意識しなくてはならない。」
2003年以降、暴力や強盗行為を理由に中央アフリカ共和国北部から逃れてきた難民は、今年初めで6万8千人に達した。彼らの早い段階での帰還の望みは薄く、最大の解決策は難民たちが今いる地域の一員として自立して生活できることである。ゴレ支部のUNHCR代表モニカ・サンドリは、「キャンプの診療所の代わりに開設された医療センターは、チャド保健省と難民と地域住民によって構成された委員会によって運営されており、難民・地域住民に対して平等に開かれている。UNHCRは今年からゴレの病院への支援を強化し、3万人以上の地域住民に医療が行き届くようになる」と話した。
教育においても、UNHCRは「統合」を目指している。全ての難民キャンプにある小学校は難民と地域住民の両方を受け入れ、また難民と地域住民からなるPTAが、運営にさらに力を入れている。またUNHCRは現在チャド教育省と前述のPTAの運営する中学校をパートナーとともに建設した。
サンドリは、「UNHCRゴレ事務所の支援体制を、緊急支援から開発志向の支援に移行させ、それによって難民の社会経済的な統合を目指そうという我々の戦略は、明確に難民のリーダーたちに伝えられている」と話した。
UNHCRの地方予算の大部分を占める主な活動は、農業や家畜業、その他の所得創出につながる仕事における生産性の向上である。「ここには難民と地域住民で構成される複数の小規模生産者グループがあり、UNHCRは積極的に彼らの共同作業を促進している」とサンドリは語る。
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