アルゼンチン・ブエノスアイレス(6月1日)発、
創造的で機知に富んだ新聞・雑誌向けのUNHCR広告キャンペーンは、コンセプトの質と完成度の高さを評価され、名誉あるクリオ賞を受賞した。
「プロブレムズ・キャンペーン」は、世界的な広告代理店であるヤング・アンド・ルビカムのブエノスアイレス事務所によって無償で製作され、5月27日ニューヨークで開催された2010年クリオ賞の印刷部門で銅賞を受賞した。
クリオ賞は広告・デザインにおいて創造性に富む作品に授与される。毎年世界中から何千ものエントリーがあるが、テレビ、印刷、広告掲示板、インタラクティブ、デザイン、ダイレクトメール、ポスター、ラジオや統合キャンペーンなど多岐に渡る。
ヤング・アンド・ルビカムは、3つの過酷な、もはや絶望的なイメージの写真に、「難民はあなたと同じ 悩みを抱えたい」というメッセージを挿入した。一つの作品では、アフリカ人女性が半乾燥地帯で洗濯桶の脇に立ち、他の洗濯物を赤く染めてしまった赤い靴下を持っている。別の作品では、半分崩壊した洗面所で、少年が喫煙しているところを母親に目撃され、驚いた表情をしている。最後の作品では、爆撃で大破した建物の間で、雨のなか故障した車のボディを洗う男性の姿が描かれている。
この印刷広告キャンペーンは過去1年間、アルゼンチン、ボリビア、チリ、パラグアイ、ウルグアイなど南米諸国の大手の新聞・雑誌で打ち出された。今回のクリオ賞受賞のほか、6月下旬にはカンヌ国際広告祭を控えており、同作品はここでも選考が行われる。
キャンペーンのクリエイティブ・ディレクターであるヘルナン・ダミラノ氏は、「難民の置かれている状況が人々の日常生活からあまりにもかけ離れているため、南米諸国でUNHCRの仕事について意識を高めるのは難しかった」、と話した。彼の出した答えは、典型的な日常のひとコマ 〜洗濯をしたり、車を洗ったり、人目を盗んでこっそり一服したり〜 を難民という文脈に当てはめる、というものだった。完成した作品はドラマチックで記憶に残りやすく、見る人の共感を得るものとなった。
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