タイ・メラ難民キャンプ(7月22日)発、
2人の子どもを持つシングルマザーのカレン族の難民、アー・イワ・パウ26歳は、よい教育の機会を子どもたちに与えるため、アメリカへの第三国定住を決意した。
タイ北部メラ難民キャンプには、UNHCRと人材サービスのグローバル企業、マンパワー社の協力のもと設置された、職業訓練パイロットプロジェクトがある。
このプロジェクトを通して難民は、アメリカのオフィスで働くために必要なスキルと英語力を向上させることができる。12人の男性と7人の女性、計19人の難民がキャンプ内で6週間のビデオやロールプレイによる訓練を終え、新たに30人が7月に始まる第2回目の6週間の訓練を受講する予定でいる。「生徒は様々な学歴を持ち、授業についていけないものもいたが、講師はとても忍耐強く何度も説明をしてくれた。訓練が6週間以上続くとよかったと思う」と、このプロジェクトの優秀な生徒、アー・イワ・パウは内に秘めた自信をにじませながら語った。
わらぶき小屋に住む難民にとって、英語で教わる訓練の内容は珍しいことばかりである。「難民にとっては、実際の仕事のスキルと同様、新しい文化の中で上司や同僚と円滑なコミュニケーションをとるためのスキルを習得することも大事である」とマンパワー・タイ事務所のマネージャー、サイモン・マシューは述べた。
マンパワー・タイのスタッフ38人はボランティアで講師やコーチ役をつとめたが、主な訓練はマンパワー社のテキストを使って、オランダに拠点を置く難民支援団体ZOAのメンバーによって進められた。
職業訓練プロジェクトは、2005年より5万5千人のミャンマー難民を送り出している、世界最大規模のアメリカ第三国定住プログラムのために設けられた。きっかけは、UNHCRのビジネスリーダー委員のメンバーと、UNHCRに人道支援をビジネスと結び付けることを提案した、大手企業幹部らの2007年タイ難民キャンプ訪問にさかのぼる。
マンパワー社の上級副社長デービッド・アークレスは、若く有能なカレン族が自らのアメリカへの再定住を前にして、職につけるか心配する姿に、心動かされた。アークレスはアメリカのマンパワー社オフィスと第三国定住する難民をマッチングさせることを決意し、結果、今回の職業訓練プロジェクトが生まれた。
プロジェクトの第2段階としてマンパワー社は、最初のグループである15人の難民が、それぞれの定住先にあるアメリカのマンパワー社のオフィスでどのように仕事を見つけ維持するか、引き続きコンサルティングやアドバイスを受けられるよう計画している。
今週、アー・イワ・パウは7歳と2歳の2人の息子を連れ、アメリカへと旅立つ。「職業訓練プロジェクトが英語を学ぶ素晴らしい機会であることを、アメリカへの再定住が決まった他の難民にも伝えたい。英語力はアメリカに到着した時に最も重要となるスキルである」と語った。
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