パキスタン、イスラマバード(8月19日)発、
今回の2010年大洪水は、パキスタンのインフラ基盤に最悪の被害をもたらした。例えば、スワート渓谷では、洪水発生の初日に、25本の橋が流されてしまった。その結果3週間もの間、何十万もの人が十分な支援も無く、着の身着のままの避難生活を余儀なくされた。政府や救援機関は、こうした状況下で弱い立場にいる避難民を救援するという重大な課題を突きつけられた。
非常時には非常手段で対応する必要がある。スワート地方にいるおよそ70万人に対して、UNHCRとその実施パートナーであるサルハド農村支援プログラム(SRSP)は、効果的な解決策を急遽思いついた。救援物資を水かさの増した川を渡って運ぶため、ゴムチューブ、竹、そしてロープを使ったジャーラ(Jala )と呼ばれる4艘のいかだを作ったのである。
いかだの船頭の一人である、オマール・カン氏は、「この方法で川を渡るのは非常に危険であるが、私たちはやらなければならないのだ」と述べた。「もし止めたら、川の向こう岸の人々は餓死してしまう」
UNHCRはいかだを使い、防水ビニールシート、毛布、調理器具セット、生活支援物資など350セットをあふれかえる川の対岸に運んだ。また現地のパートナーも、最も離れた地域までテントを運べるような大きないかだを作り、8月18日にはテント50張がマタ・テーシル(Mata・Tehsil)に運ばれた。UNHCRは生活支援物資1,156セットをスワートの各地域に支給済みであり、今後テント1,000張を支給予定である。
メンゲシャ・ケベデUNHCRパキスタン事務所代表は「避難民たちの機転の利いた取り組みは素晴らしい。スワート地方へ送られた救援物資は少なく見えるかもしれないが確実に、困窮した避難家族が問題を乗りこえるための懸け橋となっている。意思あるところに道があるのだ」と述べた。
UNHCRは7月末のパキスタン大洪水発生以来、33万9,207人以上の被災者に累計で、テント2万116張、毛布12万2,960枚、キルト布4万320枚、調理器具セット2万6,050個、蚊帳4万8,120張、石鹸30トン分、給水容器4万9,220個、バケツ4万2,220個、スリーピングマット8万9,540枚、防水ビニールシート7万9,372枚を配布・支給した。
また、パキスタンにある合計81のアフガン難民キャンプ・村落のうち、ハイバル・パフトゥンハー州、バロチスタン州、プンジャブ州における計15の難民キャンプが洪水による甚大な被害を受けている。UNHCRは今週プンジャブ州においてアフガン難民世帯の被害状況などを詳細に調査している。
8月17日には2回目の空輸物資がクェッタに到着した。刻一刻と拡大しつつある被害状況に迅速に対応するため、今後も支援物資の緊急調達・配布を継続する必要がある。
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