キルギス ジャララバード(11月22日)発、
5か月前、グルミラ*は自身の生活が炎の中で燃え上がっていくのをただ見ているしかなかった。武装した男たちの一団に襲われ、持ち物は強奪され、夫と二人でその昔に建てた愛着ある家に火を放たれたのだ。
老夫妻は、今年の6月にジャララバード一帯やキルギス南部の他の都市で起きた紛争の被害者である。30万人もの人が国内の比較的安全な場所に避難し、10万人以上がウズベキスタンに庇護を求める事態となったが、そのうち数千人が未だ家を追われたままでいる。
グルミラとムラット*の場合、6月下旬以来、焼け落ちた家の跡地にテントを張って暮らしている。この夫婦の子供たちとそれぞれ3歳、7歳と9歳になる3人の孫はキルギス南部の安全面に不安を抱き、ロシアへと去っていった。
転機が訪れたのは今月上旬、老夫妻はUNHCRの支援によって新しく建てられた仮設住宅に移ったのだ。「またちゃんと屋根のある場所で眠ることが出来るなんて」二人にとって胸が熱くなる瞬間だった。
争いの間に約2000軒の家が破壊され、1690軒が全壊した。しかしこの1か月でオシュとジャララバードに避難した約500家族(3500人)がUNHCRの援助により新たに建てられたか、また建て直された家に移ることができた。これは日本政府を筆頭に各国からの緊急支援によって実施しているUNHCRの緊急住宅再建プロジェクトの一環である。零下の厳しい本格的な冬に入る前にさらに1,200家族が同様の住居に移る。
時期を同じくして、日本の民間企業、ユニクロの全商品リサイクル活動により、店頭で回収したユニクロ衣料がキルギス南部に配布され、日本からのシェルター支援に加え、多くの避難民に暖かな衣類支援が実現した。
「素早い住居の再建は破壊された地域社会を建て直す上で大事な第一歩」ハンス・ショダーUNHCRキルギス事務所代表は述べ、平和と安定を確実なものにするためにはまだまだ成されるべきことが山積みだ、と付け加えた。
「この家は私に、孫にまた会うという生き甲斐をくれたんです」グルミラ夫妻はジャララバードにて家族全員が再会できる日を心待ちにしている。
*保護の観点から名前は仮名を使用しています
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