「世界難民の日」を控えた6月16日、アンジェリーナ・ジョリーUNHCR特使は、昨年夏まで3年間にわたりISISに支配されていたイラクの西モスルを訪問しました。ジョリー特使にとっては2001年のUNHCR親善大使就任時から数えて61回目となるミッションで、イラク訪問は5回目となります。
爆破された建物が立ち並ぶ旧市街で、地元の人たちと対話したジョリー特使。「UNHCRとともに活動を始めてから目にしてきた中で、最もひどい状況です。人々はすべてを失い、類を見ないほどの悲しみに打たれ、傷つけられています。でも、希望を持っています。私たちの助けが必要なのです」。
イラク第2の都市であるモスルでは、約4万世帯が住まいの修復を必要としており、UNHCRはパートナー団体と連携して現金支給を通じた支援を始めています。西モスルのアル・ザンジェリ地区では、セメントを混ぜたり、タイルを貼ったり、電線を通すなどの作業をしている住民の姿が見られました。
ジョリー特使は、何世代にもわたってこの地区に住んでいるという家族に話を聞きました。父親のモハメドは、かつて自宅の隣でインテリアのお店を営んでいましたが、紛争の間に住まいとともに壊されてしまいました。8歳の娘ファラクは遺伝性の疾患がありますが、担当医も避難を余儀なくされ、2年前から治療を受けることができていません。また、目の前で自分のいとこが殺され、そのトラウマに苦しんでいます。
東モスルや北部の難民キャンプに逃れていた国内避難民は徐々に街へ戻りつつありますが、街のどこを見渡しても、無傷の建物や窓ガラスは一つもありません。現在もシェルター、インフラ、基礎サービス、仕事などが不足していることから、何千もの人が再び避難を余儀なくされ、郊外でシェルターを探さざるをえないという状況も起こっています。
ジョリー特使は世界に向けて、この街で起こったこと、そして今ここにある現実を忘れてはいけない、西モスルの人たちが今立ち向かっている困難から私たち自身が目を背けてはいけないと、呼びかけました。
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